セックスと心の関係は深いです。何らかの理由で心を満たすため、セックスへ依存してしまい、人には言えないけれど、あなたの周り、あるいは、実は当事者であったり、悩み苦しんでいる人がたくさんいるのです。そんなセックス依存症について今回はご紹介していきましょう。
セックス依存症を知る
皆さんもセックス依存症というワードを耳にすることがあるでしょう?しかし、実はこれは正式な名称ではなく、医療機関での病名は「性嗜好障害」もしくは「強迫的行動症」などといった、心の病気と診断されるようです。こういった専門用語では、一般からするとわかりづらいなどにより、ワードそのままの意味である「セックス依存症」との名で世間に知れ渡っているようです。
※この記事でも以下「セックス依存症」との名称で記載していきます。
セックス好きと依存症の違い
セックスが好きな人は勿論たくさんいます。しかし、セックス依存症とは、「性行為がとても好き」といった、単純にものではないです。
セックス依存症の患者の多くは、そもそも、好き嫌いなどの概念はなく、なのに、頭の中が「セックス」の事ばかりが巡り、日常生活もままならない。または、破綻してしまうとわかっていても、性的満足を得る行為がやめられないといった、自分をコントロールできない状況のようです。
セックス依存症=性欲が強いわけではない
セックス依存症でよく思われがちなのが、性欲が強すぎる人がセックス依存症に陥りやすいとの誤解です。セックス依存症はこれまで紹介したように、体というよりは、心の病です。極端にいうと、性欲そのものの強弱はほとんど関係がないといって過言ではありません。
セックス依存症になりやすい人の特徴
悲観的で不安症
何かしらの理由により、自分に自信がない人は、物事をネガティブに捉えがちなところがあります。セックス依存症は精神疾患の一つです。色々な事を悲観的で不安に思いがちなタイプの人は、精神的に自分を追い込んでしまいます。その状況から逃げるように、セックスへの依存という形で、心の叫びが症状として出ることがあるようです。
誰かに認めてもらいたい(承認欲求が強い)
セックス依存症の方は、自分の存在価値を見出せないでいる人がほとんどのようです。自己が確立されていないため、それは、承認欲求(他人に認めてもらいたい)という形に出やすく、セックスをする事によって、他者から求めらえる・必要とされる=承認されていると感じます。セックス で安心を得られるのは、一時的な事なのですが、この瞬間的な安堵感がセックスに依存していく構図となって行くようです。
過去に性的トラウマをもっている
セックス依存症の人はセックスそのものが好きなのではなく、逆に性的なトラウマを抱えている人が多いです。例えば、性被害にあった過去をもつ場合もあり、性的被害の苦痛や不安感から、反復するように、自分を傷つけようとする精神状態に陥ってしまうのです。
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セックスに依存してしまうその要因
幼少期の虐待経験
子供の頃に保護者から受けた、性的・身体的虐待は、その後の子供の人生に大きな影をもたらします。幼少期に愛に飢えた状況にあると、大人になってもそれは満たされず、「もっと自分を愛して欲しい」との欲求が解消するため、セックスでの人との繋がりに安心を求め、依存していく傾向があるようです。
自己肯定感の低さ
自己肯定感の低い人は、少しの失敗でも「自分はダメ」との烙印を押し、落ち込みやすく、人からの評価などに自分の価値を見出す傾向があります。セックス は、自分を求められ、認められる感覚を感じられやすい行為です。その為、一時的とはいえ、セックスをしている間は自分を受け入れてもらえる感覚に安心できるため、セックス に執着していってしまうのです。
厳しすぎor逆に甘やかされすぎる環境で育った
セックス依存症は、先に説明した虐待行為だけではなく、幼少期の親との関わり方が関係するケースが多いようです。親が神経質でしょっちゅう怒られた経験がある子供は、いつもビクビクしてきた結果、些細な失敗を恐れる(自己肯定感が低い)人に育つのです。
また、その逆に、親が甘やかしすぎる場合も、色々な事を保護者が先回りをしていった結果、その子供は、自分だけでは、物事を決められなくなり、他人に依存しやすくなります。
真逆の育ち方ですが、どちらも違った形であるものの、精神的不安定な心理状況を生み出します。また、それを補うためにセックスへ心の拠り所を求めるようです。
孤独や不安をカバーするため
これまで紹介してきたように、セックス依存症の人は、孤独を感じ、不安定な心理状態にあります。この心の苦しさをセックスという、身体のつながりでカバーしようとするため、セックスへの依存が加速していくのです。
セックス依存症からの克服の仕方
セックス依存症の治療が必要なわけ
セックス依存症の問題点は
- 日常生活に問題をきたす(社会的信用をなくす事で、仕事を失う事さえある)
- 不特定多数の人と性行為を行う事による、病気リスク
- 性犯罪へ発展の危険性
などが挙げられます。これらの問題を回避する事や、その人の心を少しでも穏やかにするために、セックス依存症の治療が必要です。
自己肯定感を高める
基本的に、セックス依存症に関しては、自分だけで解決しようとせず、第3者の力が必要ですが、ただ、自分を見つめなおすことは、やってみてもいいかもしれません。
性格そのものを変える事は容易ではないですが、まず、ありのままの自分を受け入れることを意識してみます。些細なミスは誰にでも起こりうる事です。少しの事だけではなく、重大な事以外は、然程気にとめる必要はありません。
自己肯定感の低いあなたは、これまで、十分自分を責めてきました。自分自身を一つでもいい、少しでもいいから、労ってあげてください。こうして、自己肯定感をあげることだけを意識すると、少し物の見方が変わってくるかもしれません。
カウンセリングなどを受ける
既に、日常生活に何らかの害をもたらす程にセックス へ依存している場合は、れっきとしたセックス依存症(精神疾患の一種)の可能性が高いです。医師に、自分の状況をしっかりと診てもらいましょう。勇気を持って、精神科や心療内科など専門の医療機関を受診してみてください。専門医の元、カウンセリングや個々にあった、サポートプログラムなどで克服していくプロセスを提示してくれるでしょう。
自助グループに相談
医療機関以外にも、同じ病気、障害などの悩みを抱えた仲間が集まる「自助グループ」というものがあります。残念ながら、今の日本において、セックス依存症=心の病気との認知度が低いこともあり、実際には、こういった自助グループ機関の数が少ないのが現状です。
しかし、住む街の近くに自助グループが存在するのなら、利用し、治療は専門医に助言をもらいながら、進めて行くといいでしょう。
医師はどうしても、当事者ではないため「自分の苦しみをわかってもらえない」など、不信感を持ってしまう場合があります。こういった自助グループの活動を通し、当事者同士で気持ちを共有することで、また一歩、完治に向かって、歩むことができるようです。
自助グループ情報: 社会を作るNPO法人ASK(アスク)
心を満たして楽しみセックスライフ
セックス依存症からの脱却は、「セックスをしたい」という気持ちを全て削ぐことではないです。セックスへの強すぎる執着を治療して、自分にとって、生きやすい環境をつくってあげることが大事なポイントです。みんなが自分を大事にでき、そして、性行為における、身体だけのつながりではなく、心から幸せと思えるセックスライフを送れるといいですね。