女性の社会進出が進む中で、深刻な問題となっているのが平均結婚年齢の遅れ=晩婚化。子供を持たないと決めたのなら、それも個人の自由で結婚がいくつになろうと問題はありません。ただし、出産は自然の摂理で、どうしてもタイムリミットがあるのが現実です。「子を持ちたい」と思うなら、それなりの年齢を超えたときに高齢出産のリスクも覚悟が必要です。そんな多くの女性が不安を持つ、高齢出産のリスクについて今回はご紹介していきます。
高齢出産の基礎知識
高齢出産とは何歳から
日本産婦人科学会及び世界産科婦人科連合によると、35歳以上の初産を高齢出産と定義しているようです。これに経産婦は含まれておらず、世界産婦人科連合では経産婦人では40歳以上と定めています。
高齢出産の割合
2021年の出生率からみた、35歳以上の出産の割合はこちら↓
母親の年齢 |
出生数(人) | 出生割合(%) |
総数 | 811.604 | – |
19歳以下 | 5.541 | 0.7 |
20〜24 | 59.894 | 7.4 |
25〜29 | 210.427 | 25.9 |
30〜34 | 292.435 | 36.0 |
35〜39 | 193.173 | 23.8 |
40〜44 | 48.516 | 6.0 |
45歳以上 | 1.17 | 0.2 |
初産も経産婦が分かれているわけではないので、純粋な高齢出産の適宜に当てはめると若干の誤差は生じますが、お産全体の約3割近くが高齢出産という状況です。
高齢出産の初産と経産婦
最初に述べたように、高齢出産とは初産の場合、35歳以上を、経産婦(2人目以降の妊娠)は、日本では定めがないようですが、世界では40歳以上を出産リスクの高い、高齢出産としています。
初産と経産婦の最大の違いは、経産婦は出産の経験があるため、骨盤がお産に適した形になっていて、後にお伝えする「難産になりやすい」とのリスクが低くなるといった点があります。ただし、他のリスクは初産と経産婦に差ほどの違いはないようで、高齢出産にあげられるそれぞれのリスクは知っておく必要はありそうです。
高齢出産のリスク
妊娠中トラブルのリスクアップ
高齢出産のトラブルリスクとして挙げられるのは、下記のような合併症が発生しやすい傾向にあるということです。
妊娠20週以降、分娩後12週までの間に高血圧が見られる場合、もしくは、高血圧に蛋白尿を伴う場合は「妊娠高血圧症候群」にあたり、脳出血、常位胎盤早期剥離や胎盤機能が低下により、胎児発育不全や胎児機能不全などを引き起こすとされています。
また同じく、流産や早産、羊水過多、巨大児、新生児低血糖などを引き起こすとされる「妊娠糖尿病」といった耐糖能異常も、高齢出産ではリスクが高くなるようです。
流産や早産の確率が上がる
流産や早産のリスク増も高齢出産のリスクの一つとされています。実際の流産率が物語っている通り、
30~34歳までは15%、
35~39歳は17~18%、
40歳以上は25~30%
と、年齢が上がるにつれて流産の確率が上がります。
染色体異常(ダウン症)の赤ちゃん誕生の確率が高くなる
年齢が高くなると、卵子が老化し受精卵の染色体異常が増加します。このことにより、出産年齢が上がると染色体異常の赤ちゃんが生まれる確率が高まるようです。
とくにダウン症などの発生率は
20代で約0.1%
30代になると0.3%
40代では一気に1%台
というように、実際の統計的にも確率が上がっています。
難産になりやすい
高齢妊婦は軟産道強靭(なんさんどうきょうじん)のように、産道や子宮口は年齢とともに硬くなりやすく、出産時に赤ちゃんが下に降りてきづらくなるため、お産に時間がかかる(難産)リスクも上がるようです。
高齢出産のリスクを下げる方法
自然の摂理として、加齢による卵子の低下は避けることができません。しかし、他のトラブルは努力でリスクを下げる事は可能です。自分でできるリスク回避のポイントをご紹介していきます。
栄養バランスの取れた食事
体作りの基礎はなんと言ってもまずは食事です。妊娠前から和食中心など、栄養バランスの取れた食事を心がけるなどすると、「妊娠高血圧症候群」や「妊娠糖尿病」といった、合併症リスクを下げることができます。
体力の維持
適度な運動は、健康な身体を保つ上で重要で、合併症リスク回避にもつながります。またそれと同じく、難産を避けるためにもお産には体力も必要です。そのため、妊娠前から日々の生活の中に運動する時間を設け、筋力を維持しつつ、妊娠してからも適度な運動を心がけることも大事です。
オーバーワークとストレス回避
高齢だけでなく、全妊娠に言えることですが、母体の悪い心理状態は、少なからずとも赤ちゃんに影響を与えます。
ストレスは血管を収縮させる働きがあり、子宮収縮や赤ちゃんには血液から酸素や栄養が運ばれるため、栄養不足、そして最悪の場合、発育不全による早産などを招く恐れがあります。妊娠中はなるべくストレスフリーの状況が望ましいでしょう。
高齢出産のリスク不安を乗り越えて
高齢出産のメリット
高齢出産を経験した女性たちの意見の中でメリットとしてよく上がるのが、充分に働いて遊びもたっぷり経験してからの出産のため、金銭的な余裕や精神的な面でも安定しているという声です。若い時と比べて人生経験を重ねる事により、視野も広くなり、子育て挑める事は高齢出産のいいところですね。
記憶に新しい高齢出産した有名人
30代後半はもう高齢出産とは言わせない!お金に余裕がある芸能界の高齢出産例
坂上みき 53歳 初産
元新潟放送のアナウンサーで、ラジオパーソナリティ。不妊治療を経て日本最高齢53歳で出産報告は世間を驚かせました。
リンチーリン 47歳 初産
EXILEのAKIRAさんの奥さんで、台湾の美人女優さん。結婚報告時も世間を沸かせましたが、2021年12月の出産発表も驚きの声が多くありました。
だいたひかる 46歳 初産
2022年1月に乳がん、不妊治療を乗り越えての出産発表。妊娠経過をブログで公表しており、高齢出産の当事者の気持ちを色々と吐露していました。
華原朋美 45歳 初産
90年代の小室ファミリー期、数々のミリオンヒット曲を連発していた彼女。薬物依存などで一度芸能界を休止していましたが、復帰後、徐々に活躍の場を広げていき、スキャンダルな噂も色々と流れつつも、2019年に外資系企業に勤める一般男性との間に、第一子出産を公表しました。
滝川クリステル 42歳 初産
2019年11月に41歳で突然の出産。子供が産まれるまで、妊娠の噂はおろか結婚の話しもなく、突然の報告に世間を騒がせました。また、産後すぐの時期にステージに立っていたことから、その信憑性に疑問を投げかける人までいます。その後、42歳で2人目の誕生を報告
このように、芸能界の高齢出産は、世間一般の高齢出産より、より年齢層の高い所での嬉しい報告がなされています。
お産の適齢期は自分次第
高齢出産だけでなく、全てのお産には多少なりともリスクはつきものです。そして、そのリスク回避にはなるべく若い時に産んだほうが良いのでしょう。しかし、心の方はどうでしょう…生き方の選択肢が増えた現在、心が子供を持つことに準備ができていないと、それを望まない女性も多いのではないでしょうか?
高齢出産とはいえ、「子供がほしい」と、自分が心からそう思った時こそがその人にとっての出産適齢期かもしれません。ただし、残念ながら、生物学的に子供を持てる年齢はかぎられています。自分の”その時”が、もしかしたら、手遅れの場合もあります。リスクが怖くて出産を諦めるより、まだ妊娠ができる可能性があるのなら、覚悟を持って前に進んでほしいです。