妊娠を希望していない人や、パートナーが避妊をしてくれないことに悩んでいる人は、女性向けの避妊方法について調べているかもしれませんね。女性の避妊というとピルが定番ですが、避妊リングという方法をご存じでしょうか。
この記事では、避妊を考えている女性向けに、避妊リングについて詳しくご説明します。
避妊リングとは?なぜ妊娠しないの?
そもそも避妊リングというものの存在を知らなかった人もいるかもしれません。また、名前は知っていても、そのしくみまではわからない人もいるでしょう。
まずは、避妊リングとは一体何なのか、そのしくみも含めて解説します。
避妊リングとは?
避妊リングとは、その呼称のとおり避妊を目的とした器具です。女性の子宮内に挿入することで、妊娠しないようにできます。経口薬であるピルとはしくみが全く異なるため、ピルが体に合わない人や、持病などでピルを使えない人でも避妊リングなら使える可能性があります。
避妊リングにもさまざまな種類があり、従来から使われている「子宮内避妊具(IUD)」というものと、「子宮内避妊システム(IUS)」というものがあります。それぞれのしくみは後述しますが、最近ではややIUSの方がメジャーになってきています。
避妊リングのしくみ
避妊リングは一度挿入すると、定期的なチェックは必要なものの、数年以上の長期的な期間使うことができます。そのため、毎日薬を飲んだりするようなわずらわしさはありません。
避妊リングを子宮内に挿入すると、妊娠しなくなるのは、IUD・IUSともに共通しています。しかし、妊娠をさせないメカニズムは異なります。ここからは、それぞれのしくみについて見ていきましょう。
IUD(ノバT380など)
従来から存在するIUDと呼ばれる避妊リングは、子宮内に挿入すると、受精卵の着床を防いでくれるものです。着床しないので、避妊効果は高く、妊娠の心配がほとんどありません。
「リング」とは呼ばれていますが、実は現在の避妊リングは改良され、リング状ではなくT字型をしています。従来はリング状だったため、現在でもその呼称が残っているのです。耐用年数は種類にもよりますが、3年程度。3年経つと交換が必要です。
IUS(ミレーナ)
避妊リングの中でもIUSと呼ばれるものは、子宮内に挿入することで、黄体ホルモンを放出する器具です。一般的には「ミレーナ」という名前で知られています。IUDとの違いは、こちらは着床を防ぐのではなく、黄体ホルモンを放出することにより、ピルのような働きをするということです。そのため、ピルのような避妊効果が得られます。
黄体ホルモンと聞くと、ピルを服用できない人は警戒してしまうかもしれませんが、IUSはピルとは異なり血栓症のリスクがないため、ピルが飲めない人でも使用可能です。
耐用年数は5年程度。それ以上経つと避妊効果が切れるため、IUDと同様に交換が必要です。
避妊リングをつければ本当に妊娠しない?
IUD、IUSともに一度装着すれば、耐用年数が切れるまではほとんど妊娠の心配はありません。
避妊リングをつけた場合の避妊率は、IUDで99.2%、IUSで99.8%ととても高いのです。
ちなみにピルを正しく服用した場合の避妊率は99.7%程度だそうですから、ピルと同等の効果が得られると言って良いでしょう。
100%妊娠しないとは言えませんが、この数値なら「ほとんどの場合妊娠しない」と言っていいのではないでしょうか。
避妊リングのメリット・デメリット
ほとんど妊娠の可能性がないと知り、避妊リングを使いたくなった人もいるでしょう。もちろん、避妊リングにもデメリットはありますから、装着する前にはデメリットも理解しておきましょう。
ここからは、避妊リングのメリットとデメリットについてそれぞれ解説していきます。
避妊リングのメリット
妊娠の心配がほとんどない
ここまでも触れているとおり、避妊リングを装着すれば妊娠の心配がほとんどなくなります。
前述のとおり避妊率もIUDで99.2%、IUSで99.8%とほぼ100%となっていて、妊娠の心配をせずに性生活を楽しめることがわかるでしょう。
ピルを服用できない人・ピルに抵抗がある人でも使える
ピルは血栓症などのリスクがあるため、心臓が弱い人や高血圧の人など、ピルを服用できない人もいます。また、ピルを使うことに抵抗がある人もいるでしょう。
避妊リングは血栓症のリスクがなく、副作用の心配も低めなので、ピルが使えない人でも安心して使いやすい避妊具です。ピルを使えない人にとっては、唯一のほぼ確実な避妊方法とも言えるでしょう。
生理不順や生理痛の治療効果も期待できる
実はIUS(ミレーナ)という種類の避妊リングを使うと、生理不順や生理痛の治療効果が期待できます。実際、生理不順、過多月経、生理痛の治療の一環として避妊リングを使うこともあるのです。ちなみに治療として使われる場合は、保険が適用されます。
妊娠を考えていない人で生理不順などの問題を抱えている人は、専門の医師に相談してみてはいかがでしょうか。
避妊リングのデメリット
ここまで解説したとおり、避妊リングにはメリットがたくさんありますが、残念ながらデメリットもあります。ここからは避妊リングのデメリットについてもみていきましょう。
細菌感染の可能性が考えられる
避妊リングは子宮に挿入する形で使いますが、体の中に異物が入っているため、細菌感染の可能性があります。
ただ、細菌感染については抗生物質で対応できるため、それほど心配する必要はありません。
抗生物質に対してアレルギーがある人は、医師に相談してみましょう。
不正出血や月経時の出血量の増加のリスクがある
避妊リングを装着すると、稀に不正出血が起こったり、月経の時の出血量が増えたりすることがあります。不正出血については、少量ですぐに止まるなら心配はありません。しかし、量が多かったり、いつまでも出血が止まらない場合は医師の診断が必要です。
月経の出血量が増えるリスクは、IUDにのみ考えられるデメリットです。すでに過多月経で悩んでいたり、経血量が多い自覚がある人は、IUS(ミレーナ)の方を選ぶと良いでしょう。
避妊リングの状態チェックのために検診が必要
デメリットというほどでもありませんが、避妊リングを装着すると数ヶ月ごとに検診が必要です。これは、避妊リングが正しい位置にあるかどうかなどをチェックするために行われます。
万が一避妊リングが脱出していると避妊効果が得られないだけではなく、出血や痛みといった症状が現れることがあります。検診の日だけではなく、異常を感じた場合には医師に相談するようにしましょう。
避妊リングはこんな人におすすめ!
メリットとデメリットを知って、自分には避妊リングがあっているかどうかわからなくなった人もいるかもしれませんね。
そこで、下記で避妊リングがおすすめな人をリストにしてみました。
- 長期に渡って妊娠を考えていない人
- ピルが使えない人やピル服用に抵抗がある人
- より確実な避妊法を探している人
- 生理不順や生理痛にお悩みの人
避妊リングは上記に当てはまる人のニーズをカバーし、比較的安全に使えます。リスクはあるものの、上記に当てはまる人であればデメリットを上回る効果を得られるでしょう。
上記のうち「生理不順や生理痛にお悩みの人」にあたる場合は、避妊リングの中でもIUS(ミレーナ)がおすすめです。
より確実な避妊方法で安心・安全な性生活を
避妊リングを使えば妊娠の可能性がほぼありません。たとえパートナーの協力が十分に得られなかったとしても、妊娠の心配のない性生活が送れるでしょう。
デメリットも踏まえ、自分に避妊リングがあっているかどうかを検討してみてくださいね。不安なことや疑問点があれば、専門医にも相談してみましょう。