近年、20代などの若い男女の間で、梅毒患者が増えていることがよく話題になっています。しかし、成人している人やセックス経験者でも、梅毒について詳しく理解できている人はあまり多くはないでしょう。
そこでこの記事では梅毒について症状や感染経路などを詳しくご紹介します。放置していると、死に至る危険もある梅毒。ぜひこの記事を参考に、確実に梅毒を予防・治療できるように備えておきましょう。
梅毒とは?
クラミジアなどの性感染症になったことがある人でも、梅毒についてはよくわからないなんてことも珍しくありません。
そこでまずは梅毒とはどういう病気なのかを解説します。
梅毒は性感染症(性病)のひとつ!
梅毒とは昔から知られる性感染症で、治療薬ができるまでは、不治の病として恐れられていた病気です。
現在は治療薬があるため、治療ができますし、完治もします。ただし症状が出ていない時期が長く、感染に気づかずに重症化したり、他の人に感染させてしまったりする怖い感染症です。
梅毒の感染経路
梅毒は性感染症ですから、性行為を通じて「梅毒トレポネーマ」という細菌に感染することで発症します。
性感染症というと、挿入で感染するイメージがあるかもしれませんが、コンドームなしの挿入のみで感染するわけではありません。梅毒は病変部位と粘膜や皮膚が触れることで感染するため、たとえばオーラルセックスでも感染する可能性があるのです。
また、梅毒に感染している患者から輸血を受けても感染することがありますし、妊婦さんが梅毒にかかっていると、その子どもにも感染リスクが発生します。
梅毒の症状を時期別に解説!
梅毒は症状が出る時期と、症状が一時的におさまる時期があり、これが感染に気づきづらい一因にもなっています。しかし症状は割とわかりやすいため、梅毒のような症状に気づいたら、早めに婦人科で診察を受けましょう。
ここからは、梅毒の症状を時期別に解説します。ここでご紹介する症状に気づいたら、まずは医師の診察を受けてくださいね。
第1期(感染後約3週間〜)
梅毒に感染してもすぐに症状が出るわけではありません。最初の症状は感染してから約3週間以降に出始めます。
この時は、3ミリ〜3センチくらいのできものが性器や肛門、口に発生します。この辺りに何かできものができても、絶対に梅毒というわけではありませんが、医師の診察を受けるべきでしょう。
このできものは1ヶ月程度で消失するため、消失してから「ただのできものだった」と放置してしまうケースも少なくありません。
第2期(感染後数ヶ月〜)
第2期の症状は第1期の症状がおさまって、数週間から数ヶ月後に現れます。
この時期には「バラ疹」と呼ばれる赤く大きめの発疹が、手のひら・足の裏・体などに出現します。症状としてはわかりやすいため、自分の体に異変が起きていることには気づけるはずです。
しかしこのバラ疹も、数ヶ月以内に消えてしまうため、「発疹が治った」と放置してしまうケースもあるのが、梅毒の怖いところです。
第3期(感染後数年)
バラ疹が消失したあとは、梅毒感染に気づかないまま、数年以上の長期間症状が出ない場合もあります。
第3期の症状がで始めるのは、感染から数年経ってからが一般的です。
この時期になると、全身で炎症が進行し、ゴムのような腫瘍が現れます。さすがにこの症状が出ても放置できる人は稀でしょう。また、これまでのできものやバラ疹とは違い、腫瘍は消失しません。
ただし、多くの場合は第2期の時点で感染に気づくため、ここまで梅毒が進行するのは稀なのが現状です。
第4期(感染後数年〜数十年)
腫瘍ができても感染を放置していると、脳や心臓などにも感染の影響が出ます。その結果、心不全や脳梗塞を起こす可能性があり、最悪の場合は死に至ることも。
梅毒が不治の病とされていたのは、治療方法がなく、梅毒に感染すると、やがてはこの4期を迎えることになっていたからなのですね。
ただし、第3期と同様、現代でここまで梅毒の症状が進むのは、非常に稀なことです。
梅毒に関する注意点
梅毒は治療をすれば完治できる病気です。しかし、放置すれば危険な状態にもなりかねないため、注意すべき点もたくさんあります。
ここからは梅毒に関する注意点を解説していきます。
症状が消失する時期があるため感染に気づきづらい
梅毒は症状が比較的わかりやすい性感染症です。しかし、症状自体が消失する時期があるため、治ったと思ってしまったり、梅毒に感染していることに気づきづらかったりします。
さらには、症状が消失している時期は、感染者にも気づきづらいため、相手が感染しているかどうかは見た目ではわからないこともあります。
そのため、感染が広まりやすい性感染症なのです。また、感染に気づかずに妊娠して、子どもに感染させてしまうケースもあります。
ですから、性病予防はしっかりと行いましょう。信頼関係にない相手とは、必ずコンドームをつけて性交渉をするようにしましょう。
また、真面目にお付き合いをしている相手でも、梅毒に感染していないかどうかをチェックしてもらってもいいかもしれません。
梅毒に感染しているとHIVにも感染しやすい
梅毒に感染していると、HIV感染の可能性も高まります。HIVも現在は有効な治療薬があるとは言え、梅毒よりももっと怖い性感染症であることは否めません。
HIVに感染しないためにも、確実な性感染症予防を心がけましょう。コンドームも100%性感染症を予防できるわけではありませんから、素性を知らないお相手とのセックスはなるべく控えた方が良いかもしれません。
梅毒は必ず治療が必要
梅毒は治療が可能な病気ですが、自然治癒することはありません。感染を放置すると、感染を広めてしまうだけではなく、死に至るおそれもある病気です。
症状が消失すると、治ったと思ってしまうかもしれませんが、治ったわけではないことを忘れずに。
また、治療を受けて完治しても、梅毒に感染している人とセックスをすれば、また梅毒に感染することもあります。一度治ったからといって、免疫ができるわけではないことも心得ておきましょう。
梅毒検査を受けてみよう!
梅毒は感染に気づきづらいこともあり、感染者が増えています。
梅毒に感染した疑いがある人はもちろん、セックス経験者で、一度も梅毒検査を受けてみたことがない人は、一度検査を受けてみるのがおすすめです。
梅毒の検査は婦人科だけではなく自治体でも提供がある場合もあるので、調べてみましょう。特に妊娠を望んでいる人は、子どもに感染させてしまうと非常に危険ですから、妊娠する前に検査をしておくことを強くおすすめします。