「性病」または「性感染症」という言葉は聞いたことがあるでしょう。
では、性病・性感染症が具体的にどんなものなのか、どうやって感染するものなのかはご存知でしょうか。
日常的に性行為をしている人でも、あまり性病について詳しくない人も多いはず。そこでこの記事では、女性がかかる性病・性感染症の種類と、その症状などを解説します。
これまでに性行為をしたことがあるなら、性病になっている可能性はあります。自分は大丈夫!と信じ込まずに、今回ご紹介する記事を参考に、性病についてしっかり考えてみてくださいね。
「性病」「性感染症」とは?
まず、性病および性感染症が何かをご説明します。
性病と性感染症は同じものです。以前は「性病」と呼ばれていたものが、法改正により「性感染症」または「STD(Sexually Transmitted Diseases)」と呼ばれるようになりました。
つまり、現在の医療現場では「性感染症」が正しい呼称となります。
しかし、まだまだ日常会話の中では「性病」を使うことの方が多いでしょう。そのため、この記事でも「性病」という呼称を中心に使っていきます。
性病、または性感染症は、性行為で感染する病気のことです。有名どころでは、クラミジアや淋病、そしてHIVなどがありますが、他にもたくさんの性病(性感染症)があります。
性病(性感染症)の種類とその症状
ここからは女性がかかる主な性病(性感染症)の種類と、症状をご紹介します。もし今、自分の性病を疑っている人は、こちらを参考にすればどの性病の疑いがあるのかがわかるでしょう。
クラミジア感染症
クラミジア感染症は、性病の中で最もメジャーな存在です。直接性器の分泌液や粘膜同士、または性器と口腔が触れることによって感染します。
女性はあまり症状を感じないことが多いですが、おりものが増えるなど、多少変化が見られる人もいます。男性だと排尿時に違和感を感じることが多いでしょう。
症状がないからと放置すると、不妊や流産・死産の原因になることもあり、早期発見が重要な性病です。
淋病感染症
淋病感染症はクラミジアと並んでメジャーな性病です。この2つを併発しているケースも多くみられます。感染は、クラミジアと同様に性器同士もしくは性器と口の接触により起こります。
クラミジアよりは症状がわかりやすく、おりものが増えたり、不正出血があったり、陰部に違和感を覚えることがありますが、症状が軽めのため見逃しやすいです。
こちらも不妊の原因になったり、妊娠中だとお腹の子供が淋菌性結膜炎になることがあったりなど、放置すると深刻な事態になることも。特に子作りをする前には必ず治しておきたい性病です。
性器ヘルペス
性器ヘルペスはヘルペスウイルスに感染している人の皮膚や粘膜と直接接触することで感染します。
症状はわかりやすく、性器がかゆくなったり、不快感を感じたりします。放っておくと水疱やびらんができ、強い痛みを感じることもあり、その状態になる前に治療しておきたい性病です。
自然治癒もしますが、再発を繰り返すこともあるので、確実な治療をしておくべきです。
膣トリコモナス症
精液や膣分泌液、または尿道からの分泌物に接触することで感染します。
性行為で感染しやすい性病ですが、トリコモナス原虫がついたタオルなどに触れても感染することがあるため、家族に感染させてしまうこともあるでしょう。
感染すると、おりものが増えたり陰部にかゆみや違和感を感じたりします。しかし、あまり激しい症状ではないため、なかなか感染に気づけないこともあるでしょう。
男性はほとんど症状を感じないので、知らず知らず感染させていることもあります。
尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の一種への感染が原因で引き起こされる性病です。性器同士が直接触れ合うことによって、感染します。
症状はとてもわかりやすく、性器や肛門などに鶏のとさかのような形の出来物ができます。自然治癒することもありますが、可能性は低く、悪性腫瘍になることもあるので、見つけたらすぐに治療すべき性病です。
治療はレーザーなどで切除したり、クリームを使います。レーザーによる治療は痛みを伴うため、治療自体が苦痛に感じる人もいるでしょう。
梅毒
最近日本で増加傾向にあるという梅毒は、性器周辺の皮膚や粘膜に直接接触することで感染する性病です。
進行度によって症状が変わる性病で、感染初期は性器や口に炎症やしこり、ただれ、リンパの腫れなどができます。その後間を開けて、発熱やだるさ、そして皮膚に赤い湿疹ができます。
これを放置すると、骨や筋肉、そしてさまざまな臓器にしこりやゴムのような腫瘍ができ、細胞が破壊されていきます。さらに進むと、心臓や中枢神経が侵され、最後には死に至るという病です。
江戸時代では不治の病として扱われていた梅毒ですが、現在は治療が可能です。遅くても、体に赤い不思議な湿疹が出始めた頃には、治療をすべきです。
性器カンジダ症
性器カンジダ症は、性病とカテゴライズされがちですが、厳密には性病(性感染症)とは言えません。
性行為が原因で発症することもあるのですが、カンジダは膣にいつもいる常在菌で、性器カンジダ症とは、そのカンジダが何らかの要因により増殖しすぎた状態だからです。
性行為のほかに、ストレスや風邪、ホルモンバランスの崩れなどで発症することがあります。また、ジスロマックなどの抗生物質を飲むことで、発症することもあります。
症状はヨーグルトや酒粕状の白いおりもの、そして外陰部のかゆみです。治療は膣錠や軟膏、経口薬などで行われ、治療を受ければすぐに治ります。
ただし、体調を崩すと再発することもあるため、気をつけていても何度もカンジダ症になってしまう人もいます。
B型肝炎/C型肝炎
B型肝炎、およびC型肝炎は、血液や体液との接触によって感染する病気です。
感染すると熱が出たり、全身倦怠感を感じます。黄疸がみられることもありますが、どちらも症状は軽く感染に気づけないこともあるでしょう。
放置すると慢性肝炎や肝硬変、そして肝癌へと移行するため、早期の発見・治療が大切。予防のためのワクチン接種も可能です。
HIV/後天性免疫不全症候群(AIDS)
性病の中で梅毒と並んで怖い病気が、このAIDSです。
AIDSはHIVに感染することで発症するものですが、発症までには10年程度時間を要します。そのため、AIDSが発症する前の段階でHIV感染に気づき、治療を始めることが非常に大切です。
HIVに感染すると、数週間後に発熱や頭痛といった風邪のような症状があります。風邪と思って放置すると、その後はAIDSが発症するまで特に症状はありません。
無症状期が長いため、性行為をしたことがある人は一度は検査を受けておいた方が良いでしょう。
HIV感染に気づかず性行為を続けていると、HIVの感染を拡大させることになります。
また、AIDS発症となると、症状に苦しみ、最悪の場合は死に至ることもある、非常に怖い性病です。
性病(性感染症)かな?と思ったら
性行為のあとに性器周辺に異常を感じたり、風邪のような症状が見られた場合、性病(性感染症)に感染している可能性が考えられます。しかし多くの性病の初期症状はとても軽く、「気のせい」でスルーしてしまう人もいるでしょう。
「もしかして性病かな?」と思ったら、自己判断はNGです。ちょっとでも疑いを持ったら、すぐに産婦人科で性病検査をしてみましょう。
また、自治体でHIVの検査をしていますから、自治体での検査も調べてみてください。
また、市販のキットで調べられる性病もありますから、産婦人科や自治体の検査を受けるのが怖い人は、まず市販のキットを使ってみても良いですね。
ただし明確な症状があるのに市販キットで陰性の場合は、そのキットではわからない他の病気になっていたり、キットが正しく使えてなかったりする可能性もあります。
そのため、「性病かも?」と思ったら、産婦人科で検査を受けるのが確実と言えるでしょう。
性病(性感染症)は性行経験があれば誰でもなり得る!
性病はセックスをしたことがあれば、誰でも感染している可能性があります。今まで性病検査を一度も受けたことがない人は、一度は産婦人科で検査をお願いしてみましょう。
特にHIVや梅毒は、HIV・梅毒を疑って検査をしなければ、検査をする機会がない性病です。知らぬ間に感染していて、他の人に感染させている可能性もあるため、これまでに一度もHIVや梅毒の検査を受けたことがないなら、一度は受けておくことをおすすめします。