避妊の方法と言えば、コンドームや低用量ピルの服用が今の主流です。ですが、これらの避妊方法が一般的になったのはここ数十年の話。昔の避妊方法はどうだったのか、気になりませんか?

過去の時代は娯楽が少なく、セックスを娯楽として楽しむ人が多かったようです。そのため、太古から人々は避妊のため試行錯誤していたとか。今回の記事では、世界・日本の昔の避妊方法について解説します。

昔の避妊方法は?コンドームの代わりに使っていたもの

避妊に使われていたハチミツ

太古の昔から、人々は避妊について試行錯誤を繰り返してきました。コンドームが無かった時代には、驚くような方法・素材を使って避妊に挑んでいたようです。

ヤギやヒツジの膀胱でペニスを包み込んで使用

コンドームが生まれる以前から「男性器に被せて精子が子宮に侵入するのを防ぐ」避妊方法は考えられてきました。中でも歴史が古い避妊方法が、ヤギやヒツジの膀胱を使用する方法です。

古代ローマの時代に考えられた方法で、ヤギや羊の膀胱を袋状に整形し、男性器に被せてからセックスをしていました。元々は性感染症から女性を守るために誕生したものですが、次第に避妊具としての認識が広まっていったようです。

この方法はヨーロッパを中心に親しまれ、なんと中世に至るまで採用され続けたとの記録もあります。

ハチミツとアカシアの葉を塗布

紀元前15世紀ごろ、古代エジプトの時代で使われていた避妊方法が、ハチミツとアカシアの葉を使った方法です。アカシアの葉をハチミツに混ぜ、子宮内に塗り込んで挿入します。

世界最古の医学書・パピルス古文書にも「ハチミツとアカシアの葉が精子の機能を停止させる」との記述があり、これにより膣内で射精しても妊娠しないと考えられていました。匂い対策やローションなど、別の側面でもメリットがありそうな避妊方法ですね。

油に浸したシルクで亀頭を保護

12世紀中国で採用されていたのが、油を浸したシルク(絹織物)で男性器を包む方法です。シルクで作った小さな帽子状の袋で亀頭を包み込みます。シルクではなく紙を使って同様の避妊具を作っていたこともあるようです。

これにより精子が子宮に侵入するのを物理的に阻んでいました。また、たっぷりとオイルを浸すことで精子の機能を停止させると同時に、ローションとしてもセックスを盛り上げていたとされています。

半分に切ったレモンを膣に挿入

17世紀イタリアを中心に記録が残っているのが、半分に切ったレモンを用いる避妊方法です。レモンを半分に切り、皮面が子宮側・果肉が男性器が当たる側になるよう膣内に押し込んで使います。

半分に切ったレモンが子宮への精子の侵入を物理的に阻むことに加え、レモンの殺菌効果により精子の機能停止を狙っていたようです。この避妊方法はヴェネチアの術作家・カサノヴァの回顧録にもあり、彼が愛人と行為に及ぶ際も使用していたと記録されています。

ガラス製の避妊ピンを子宮に挿入

1920年代、近代に近づいてきた頃に登場したのが、ガラス製の避妊ピンです。角や先端に丸みを持たせた釘状のガラスピンを子宮口に挿入し、精子の侵入を阻んでいたとされています。

また、ガラスのほかにゴムや金属など、さまざまな素材で同様の避妊具が作られていたいう記述も。動物の内臓で作られた避妊ピンもあったとの記録がありますが、しばしば感染症を引き起こし、衛生面が問題視されていたようです。

日本の昔の避妊方法を解説!江戸時代から現代までの避妊の歴史

江戸時代の避妊方法

世界では紀元前から避妊のためさまざまな方法が取られていたことがわかりました。一方で、日本の場合はどうなのでしょうか。

日本では特に江戸時代・吉原遊廓の記録から、昔の避妊方法を紐解くことができます。

動物の皮で作ったコンドームを使用

江戸時代、開国をきっかけにオランダからの舶来品としてコンドームの前身が渡ってきたという記録があります。当時は「茎袋」と呼ばれており、素材として動物の皮が使われていました。

使用方法も現代のコンドームと大きな違いはなく、男性器に装着して使われていたようです。しかし、ゴムではないため伸縮性に乏しい・使い捨てするには非常に高価な代物だったため、広く普及することは叶いませんでした。

遊女は紙を丸めて膣に入れて避妊

吉原遊郭では、遊女は多くの男性を相手にするため避妊方法について積極的に考えられていました。中でも一般的だった方法が「御簾紙(みすがみ)」と呼ばれる和紙を使った方法です。

使用方法は単純で、紙を丸めて膣の奥に詰め物をします。これにより物理的に精子の侵入を阻んでいましたが、当然ながら紙は精液を吸収し、そのまま子宮内に入り込む可能性もあったため、確実な方法とは言えませんでした。

避妊薬として「天女丸」が流行

また、江戸時代には物理的な避妊方法に加え、女性が服用する避妊薬も流行しました。中でも人気があったとされている避妊薬が「天女丸」です。

天女丸は作家・式亭三馬が製造した丸薬で、避妊のほか生理不順の改善など、現代の低用量ピルのような効果があったとされています。ただ、この天女丸を含め効果は眉唾物で、こちらも確実な避妊方法ではありませんでした。

ゴム製コンドームが登場したのは昭和末期

現代のコンドームが登場したのは1934年のことです。伸縮性のあるゴム製の袋を男性器に被せて使用するため、当時は性病予防を目的に製造販売されましたが、次第に避妊目的での使用が浸透していきました。

そしてコンドームが日本でも避妊方法として浸透していったのは昭和末期、たった30年ほど前の話です。当時のコンドームはまだゴムが厚く使用感に問題があったとされていますが、徐々に薄く耐久性の高いコンドームも開発され、現在に至ります。

コンドームで性生活の安全を守ろう

避妊は昔から、世界中で問題視されており、さまざまな方法を模索してきた歴史があります。ただ、昔の避妊方法は妊娠のリスクが高いものや衛生面が心配なものも多く、現代のコンドームやピルの大切さがよくわかります。

ご紹介した方法はあくまでも雑学であり、実際に試してはいけません。安全なセックスライフを送るためにも、コンドームやピルを正しく使用しましょう。