「処女じゃないのに、セックスのたびに毎回性交痛がある」と悩む女性は少なくありません。痛みを毎回我慢していると、セックスに嫌悪感や恐怖心を抱くようになり、パートナーとの関係もこの先不安だと感じてしまうでしょう。
この記事では、性交痛の原因と解消法を解説するとともに、注意が必要な痛みについても記しています。ぜひ参考にしてください。
性交痛とは？基礎知識と痛みの原因を徹底解説
4人に3人が悩んでる！性交痛とはどんなもの？
性交痛はその名の通り、セックス時の痛みを指します。女性の50〜75%が性交痛の経験があると言われており、決してめずしくない症状です。男性のペニス挿入時に膣入り口が痛むものと、挿入後のピストン運動をされる時に、膣の奥で感じるものがあります。
また、性交痛の原因は身体的特徴などの外因的要因・セックスやパートナーに対する感情などの心因的要因も。しかし膣の入り口および中の狭さや硬さ、痛みの感じ方には個人差があり、初体験でも全く痛みを感じない女性も居ます。
膣周辺の潤い不足
性交痛を起こす原因として最も多いのが、膣周辺の潤い不足。いわゆる「濡れていない」状態で、男性がペニスを挿入しようとした時に起こりやすいです。
女性が性的興奮を覚えると、膣周辺の毛細血管が拡張し、血管壁を押し開くことで、腟分泌液が湧き出てきます(分泌量には個人差あり)。膣が乾燥した状態ではペニス挿入時に摩擦を起こし、痛みを感じたり粘膜を傷つけたりする原因になるのです。
出産後や更年期の性交痛
妊娠中は女性ホルモンが盛んに分泌され、濡れやすい状態です。しかし産後をきっかけに、分泌が急激に減少。膣も潤いにくくなります。加えて、出産時の会陰の痛みがトラウマとなって体がこわばることも、性交痛の原因の一つです。
また更年期を迎えると、エストロゲン(女性ホルモンの一種)の分泌不足で膣周辺の皮膚が薄くなります。潤いそのものも失われ、ペニス挿入時に局部の痛みやかゆみを感じやすくなります。
心因的要因
セックスへのマイナスな感情が強い場合など、心因的要因が性交痛につながることもあります。
例えば、レイプや性的虐待を経験したことによる恐怖心やトラウマ、妊娠することへの拒否感や不安など、気持ちが目の前のセックスに追いついていない場合にも痛みを感じやすいです。
また、パートナーに対する悪い感情や嫌悪感も性交痛の心因的要因となります。その他、セックス=汚いもの・悪いものというイメージが、性交痛として現れる可能性も考えられるでしょう。
男性の陰茎が大きい・ピストンの動きが激しいから？
男性側のペニスがあまりに大きい場合「彼のペニスが太過ぎて、膣が裂けそうに痛い」「彼のモノは長くて、奥の方を突きすぎて痛い」という悩みがありがち。
しかし女性の膣は伸縮性があり、次第に慣れていくものです。この場合の問題は男性のペニスそのものが原因ではなく、前戯の怠りや乱暴なピストン運動が性交痛を起こしています。
大きすぎて膣に入りにくくても、角度を変えたりローションを使ったりするなど工夫をすれば、ある程度の解決が見込めるでしょう。
婦人科系の病気が隠れている場合もあり
場合によっては、婦人科系の病気が原因で性交痛を引き起こすこともあります。膣入り口の痛みか膣奥の痛みかで、原因が異なるのが特徴です。
性交痛を起こす婦人科系疾患として、以下のものが疑われます。
- 誘発性膣前庭炎
- 子宮内膜症
- 感染症によつ骨盤内の腫瘍
- 外陰部や膣の炎症
- 各種性感染症
気になる場合は恥ずかしがらずに、レディースクリニックを受診しましょう。こまめに子宮内の検診を受けることで、早期発見に繋がります。
つらい性交痛の解消法5選
前戯の時間を長めに取ってリラックス
前戯がおざなりになると、腟分泌液が不十分で濡れていないままの挿入に。こうなると摩擦によってヒリヒリするし、そのままピストン運動に入られると擦れて出血する場合もあります。
性交痛を防ぐためには、前戯の時間を長めに取って欲しいとお願いしましょう。また、筋肉や膣は筋肉が衰えると、固くなってペニスが入りにくくなります。キスやハグだけでなく、腟内に唾液で濡らした指を徐々に挿れて慣らすのもおすすめです。
ただ、前戯が長すぎるとせっかく濡れていても乾いてしまうので、様子を見ながら進めましょう。
専用のローションで膣周辺をしっかりと潤す
腟分泌液が充分に出せない場合は、潤滑ゼリーやローションを使って潤しましょう。これらの商品は体液と違って、使用量を自由に調整できるので、性交痛に悩む女性はかなり重宝するアイテムです。
女性の膣周辺や腟内(入り口付近)、必要に応じて男性のペニス全体に塗るなどの工夫をしてみてください。女性は皮膚や粘膜に直接塗るので、「肌に合わない」と感じたら使用を中止しましょう。
オナニーで日常的に膣を鍛える
女性のオナニーは決して悪いものではありません。自身で力を加減できるので、気持ち良い感覚や触られ方を少しずつ体で覚えられるからです。「セックス=痛い」というイメージから少しずつ開放され、前向きになることで、性交痛が少しずつ緩和される可能性もあります。
今では「インナーボール」と呼ばれる道具で膣のインナーマッスルを鍛える「膣トレ」も話題です。
健康的な生活&リフレッシュも大切
忙しい毎日で疲れやストレスが溜まっていると、愛液を分泌させる女性ホルモン「オキシトシン」が減少します。いわゆる「濡れにくい」状態は、オキシトシンの不足によって起こるもの。
オキシトシンを働かせてしっかりと膣を潤わせるには、規則正しい生活やバランスの取れた食事、充分な睡眠時間や休息の確保が大切です。これらに加え、なるべく疲れていない時や体調が万全な時にセックスすることも、性交痛の緩和につながります。
クリニックで女性ホルモンを補う
更年期に近づくと女性ホルモンのエストロゲンが減少します。膣分泌液が出にくくなるほか、局部の皮膚や粘膜の潤いも急激に不足するようになり、性交痛も感じやすいです。
性交痛以外にも更年期の不調を感じる場合は、クリニックに相談を。女性ホルモン剤や漢方薬を処方してもらえることがあります。最近では、20〜30代の若年性更年期障害の女性も増加中です。「まだ私は若いし」と他人事のように思わず、改善方法の一つとして、参考にしてください。
こんな痛みに要注意！受診が必要な性交痛
受診の目安となるチェック項目
以下の症状が当てはまる場合は子宮内膜症によって性交痛が起きている可能性があります。
- 膣の奥が痛い
- 特定の体位になると痛みがひどい
- 性交後も痛みがしばらく残る
- 下腹部が痛い・違和感がある
- 生理痛がひどい
当てはまる項目が多い場合は、早めの受診をおすすめします。
心因的な性交痛はカウンセリングを
セックスに対する恐怖心や嫌悪感、性的欲求低下などを伴う性交痛には、カウンセリングや認知行動療法を行うことがあります。セックスセラピストやセックスカウンセラー、精神科医など専門家のサポートが必要です。
専門家の一覧は日本性科学会に記載されていますが、全国に50名程度しかいないのが現状です。
もちろん、パートナーとのコミュニケーションやセルフケアも大切です。性交痛はあなた一人の問題ではないので、一緒に根気よく向き合っていきましょう。
性交痛の多くは潤い不足！つらすぎる痛みは早めにクリニックへ相談を
性交痛の主な原因は、膣周辺の潤い不足による摩擦の痛みです。いわゆる「濡れない」状態の時、女性側の性的興奮度が不十分だったり、加齢により女性ホルモンの減少していたりすることなどが考えられます。
まずは前戯の時間を長く設けてリラックスし、女性の心を受け入れ体制に整えましょう。専用のローションや潤滑ゼリーを上手く活用するのも、性交痛の解消方法の一つです。
痛みがあまりにひどく、持続する場合は早めにクリニックを受診してくださいね。
